サーバー移行・ホームページお引っ越しの注意点

お客様からのご相談で、サーバーをひとつにまとめたいというご相談をいただくことがあります。
サーバー契約をひとつにまとめればサーバーのランニングコストが抑えられそうですが、ひとつのサーバーで複数のホームページを運用するためには多くの確認事項が発生し、とくにWordPressのホームページでは注意が必要です。
サーバー移行時の確認事項はサーバーによって異なりますが、どのようなサーバーでも確認すべき必須事項がありますので、今回はWordPressのご相談事例を元に注意点をご紹介します。

ご相談の概要「ホームページの引越」

今回のご相談は、複数のホームページを運用していて、サーバーも複数契約しており、サーバーをひとつにまとめたいのでホームページを引っ越したいというご相談でした。

ホームページを3つ(A・B・Cサイト)持っており、

Aサイト、Bサイト:「さくらインターネット」のサーバーを利用(マルチドメイン契約)
Cサイト:さくらインターネット以外の別サーバーを利用

諸事情により、「Cサイト」を「A・Bサイト」を管理している「さくらインターネット」のサーバーでまとめて管理することでコストを抑えたい。

というご相談です。

ホームページにWordPressなどのシステムが絡んでいるかどうかを確認する

まず、移管元(事例の場合は「Cサイト」)、移管先(事例の場合は「AとBサイト」)、どちらのホームページも、WordPressなどのようなシステムで作られているかどうかをまず確認します。

詳細はここでは割愛しますが、例えばWordPressで作られたホームページの場合、PHP言語を使い、MySQLといった管理システムを利用していることが多いですが、それぞれにバージョンがあります。

移管先のサーバーの仕様を確認する(ここではPHP・MySQLのバージョン確認)

多くのレンタルサーバーでは「マルチドメイン契約」と言って、1つのサーバー契約で、異なるドメインのホームページを設置することができます。
今回の事例の場合も「A・Bサイト」は異なるドメインですが、サーバー契約はひとつです(マルチドメイン契約)。
この場合、「Aサイト」と「Bサイト」のドメインは異なりますが、利用しているPHPやMySQLのバージョンは同一*になります。
※サーバーの仕様により異なります。

一方、「Cサイト」が「A・Bサイト」と異なるPHPやMySQLのバージョンを利用している場合、移管先の「A・Bサイト」のPHPやMySQLのバージョンで問題なくホームページが表示・動作するかどうか、やってみないとわかりません。

「Cサイト」「A・Bサイト」で利用しているPHPやMySQLのバージョンが全く同じ場合は基本的に問題ありませんが、バージョンが異なる場合、注意が必要です。

注意すべきはPHP・MySQLのバージョン

ちょっと話が専門的になるため、例えばスマホの機種変更を例にして置き換えてみましょう。

これまで使っていたiPhoneのiOSが14.1だったとします。
今回新しく買い替えたiPhoneのiOSが16.4になったとします。

iOS14.1で使えていたアプリが、iOSが16.4になったら使えなくなった、ということが起きたとします。
これは、古いスマホには対応していたアプリが、新しいスマホには対応しておらず、使えなくなる、という事態が発生したということです。

ホームページでも似たようなことが発生します。
古いサーバーには対応していたホームページが、新しいサーバーには対応しておらず、不具合が生じてしまうというケースです。

今回ご相談のケースは以下のようなパターンでした。

「Cサイト」が利用していたPHPのバージョンは8.0
「A・Bサイト」が利用してたPHPのバージョンは5.6

という状況。

「A・B・Cサイト」を同じサーバーで契約する場合、PHP5.6というバージョンはかなり古く、そのまま使い続けるのはリスクを伴うため、8系のバージョンにあげる必要がありました。
しかし、そのためには「A・Bサイト」がPHP8系のバージョンで問題なく表示されるか、WordPressの管理画面が問題なく使えるかなどの検証が必要になります。

「A・Bサイト」の検証
場合によっては「A・Bサイト」の不具合調査・修正

という作業が発生し、もちろんこれにはコストがかかります。
本番環境で検証を行うわけにはいきませんから、テスト環境を構築し、データを移管する、という作業も伴います。

こうなってくると、本来の目的である「コスト削減」がむしろ「コスト増」になる可能性もでてきます。

ではどうするのが最適な手段なのでしょうか?

基本的に「マルチドメイン契約」はしない

「マルチドメイン契約」は一見とても便利なサービスのように感じますが、WordPressのようなシステムを使ったホームページを運用する場合、ひとつのサーバーで全てを管理しようとすると、様々なリスクが伴います。

例えばどれかひとつのホームページをリニューアルをするとなった時も、新しいホームページは通常PHPなどのバージョンも新しいものを利用するので、常に同一サーバー内で管理しているホームページが影響しあうこととなり、検証、修正……などの作業が発生します。

その他、異なるドメインであっても同じサーバー内にあることから、様々な制限やホームページで影響しあうこともあり、本来ランニングコストを抑える目的であった「マルチドメイン契約」が結局コスト増になってしまうという本末転倒になりかねません。

1つのサーバーで複数のドメインは運用せず、1ドメイン1サーバーを基本とする

ここまでご紹介した通り、1つのサーバーで複数のドメインを契約すると、お互いが影響しあうことからリスクが大きく結局コストも上がりかねません。

結論としては、基本的に1つのサーバーで複数のドメインは運用せず、1ドメイン1サーバーの契約を行うことです。

「1つのサーバーで複数のWebサイトを稼働させてはいけないワケ」という記事でも詳しくご案内していますので参考にしてみてください。

テスト環境としては「マルチドメイン契約」は有効

一般公開しない、ホームページの開発環境として利用する場合などには「マルチドメイン契約」は非常に有効です。
利用目的に応じて上手に節約できるとよいですね。

鶴岡製作所

〒120-0015 東京都足立区足立2-36-15
TEL 03-5647-8594(受付時間:平日10:00~19:00)