1つのサーバーで複数のWebサイトを稼働させてはいけないワケ

1つのサーバーで複数のWebサイトを稼働させてはいけないワケ

公開したいWebサイトが100ページ以上の高度なシステムを搭載した大規模サイトでも、たった数ページしかないシステムなしの小規模サイトでも、インターネット上で公開するためにはサーバーがかならず必要になります。

昨今のレンタルサーバーではマルチドメイン機能と呼ばれる「1つの契約で複数の異なるドメインのWebサイトをいくつも公開できる機能」が、どの業者が提供しているレンタルサーバーでもほぼ標準で利用可能になっています。これはドメインの異なるWebサイトを5つもっていたとしてもそれぞれのドメイン用にサーバーを5つ契約する必要がなく1つの契約だけで済むのでサーバーの維持コストを大幅に削減することができる画期的な機能になります。

あまり一般的に知られていないのですがWebサイトやサーバーはいち度入手したらそのまま永遠に使い続けられるわけではありません。我々が普段使っている衣服や家と同じく時間の経過と共に壊れていくので、部分的に修理することで延命できることもあればまったく使えなくなってしまうこともあり、いつかは新しいものに買いかえる必要が出てきます。

今回は1つのサーバーで複数のWebサイトを稼働させたことで実際に起こった事案を紹介します。

レンタルサーバーの基本的なしくみ

レンタルサーバーの基本的なしくみ

まずはじめに基本的なレンタルサーバーのしくみについて理解していきましょう。

冒頭でも触れましたが月額数千円で借りることのできるサーバーのほとんどは共用といって1つのサーバーとネット回線を数人から数十人の契約者で共用(※1)しています。

ただでさえ大人数で共用しているサーバーですがマルチドメイン機能で複数のドメインを収容すると、自分のスペースを更にいくつもの異なるドメインのWebサイトで共用することになるので、表示までにかかる時間が長くかかるようになったり(※2)、共用している中のいずれかでトラブルが生じると別のWebサイトに悪影響が生じるということも起きてしまいます。

またマルチドメイン機能では1つの「主ドメイン」とそれ以外の「副ドメイン」という仕様(※3)があり、主ドメインはサービスの内容をすべて利用できるが、副ドメインだと制限があり一部のサービスしか利用できないことがあります。

レンタルサーバーのマルチドメインで公開するWebサイトは、他の契約者との共用でただでさえ遅くなりがちな表示スピードがさらに低下してしまうのと、契約時に確認したサービス内容が受けられるのは1つのドメインだけで、それ以外のドメインではサービスがすべて受けられないということはあまり知られていない事実だったりします。

マルチドメインのトラブル事案1
「主ドメインしかSSLに対応していない」

「主ドメインしかSSLに対応していない」

最初は1つのドメインでWebサイトの公開をスタートし、その後ビジネスが順調に成長したことで新たなドメインで2つ目のWebサイトを公開することに。
新しくサーバーを契約しようとしたところ、現在の契約内でマルチドメイン機能を利用すれば、新たに契約をせず、新たなドメインで2つ目のWebサイトが公開可能なことがわかりました。そのため、コストを削減で2つ目のWebサイト用にサーバーを契約しないことにしました。

それからしばらく経過した後、諸事情により2つのWebサイトをSSLに対応させるためにSSLオプションを申し込みましたが、利用しているレンタルサーバーではマルチドメイン機能を利用している場合は主ドメインのみSSLオプションに対応しており他のすべてのドメインはSSLオプションの申込み自体が不可能であることが判明。
結局、WebサイトをSSLに対応させるため新たにサーバーを追加で契約し、さらに主ドメインではないWebサイトを元のサーバーから新しく契約したサーバーへ引っ越しをしなくてはならず高額な引っ越し費用がかかってしまいました。

このケースでは新たなドメインでWebサイトを公開する際、マルチドメイン機能にどのような制限があるのかを把握していないまま、コスト削減を理由にマルチドメイン機能での公開を選択したことで、最初からドメイン毎にサーバーを契約していれば不要だったWebサイトの引っ越しという大きなコストがかかってしまいコスト削減のつもりが逆にコストを増やしてしまう事態となりました。

マルチドメインのトラブル事案2
「特定のドメインだけのPHPバージョンを変えられない」

「特定のドメインだけのPHPバージョンを変えられない」

マルチドメイン機能を利用し1つのレンタルサーバーでシステムが組み込まれた4つのWebサイトを運用していたが、1つのサイトのシステムが古くなり最新のセキュリティに対応させるためリニューアルすることに。

しかしリニューアルしたWebサイトのシステムを動かすためにはPHPのバージョンを新しくする必要があり、今回利用しているレンタルサーバ-の場合は管理画面からPHPのバージョンが変更可能でした。

設定画面からPHPのバージョンを変更しようとしたところ、マルチドメイン機能で運用しているすべてのドメインでPHPのバージョンが変わってしまうことが判明。4つあるそれぞれのWebサイトの制作を担当した業者に問題がないか確認しましたが、あるWebサイトは正常動作を保証できないと回答があり、別のWebサイトではシステムを改修するために別途費用がかかると回答がありすぐにリニューアルができなくなってしまいました。

1つのレンタルサーバーで複数のWebサイトを公開すると逆に高く付くことが多い

1つのレンタルサーバーで複数のWebサイトを公開すると逆に高く付くことが多い

マルチドメイン機能を利用することで、パッと見ではかなりのコストを削減できているように思えますが、収容しているWebサイトのすべては連動している状態のため、どれかのWebサイトでトラブルが生じたり、システムが関わる重要な作業を行おうとした際に、サーバーを個別に契約している場合よりもかなりの費用がかかってしまうケースがあります。また、場合によってはどうにもならない事態になってしまうことも。

特に一度サーバー上で完成させたWebサイトを別のサーバーにそのままの状態で引っ越しをさせる必要がある場合、システムがWebサイトに組み込まれている(特にデータベースが関わるケース)と、引っ越し作業に必要な日数や技術も必要となり数十万近いコストになってしまうことがあります。

1つのサーバーに1つのWebサイトが基本

あまり知られていないのですがほとんどのレンタルサーバーでは1つのWebサイトにつき1つの契約をすることを推奨しています。

ではなぜマルチドメイン機能という2つ以上のWebサイトを収容する機能が提供されているかというと、メンテナンスを行う際に公開している本番サイトを直接触ってしまうと万が一トラブルが生じた際に表示されなくなった場合に困るので、万が一が起きてもよいように本番サイトをコピーし作業用の仮サイトを構築するケースなどを想定しています。

1つのサーバー内に複数の本番サイトを入れるということは、実はイレギュラーなことをしていてかなりリスクの高い行為であることを知っておいてください。

※1 1つのサーバーやネット回線に掛かる費用を共用する人達で分担することで一人あたりの負担が押さえられているので、本来であれば月額数十万円はかかる維持費が数千円程度で済んでいます。

※2 現在Googleでは検索結果で上位に表示させるかどうかを判断する指標としてページの表示スピードが含まれています。

※3 一般的なレンタルサーバーでは契約時に申し込んだドメインが主ドメインになり後から追加したドメインが副ドメインという扱いになることが多いです。

ドメイン・サーバーの選び方について

弊社では、サーバー会社を選ぶ際のポイントなどをご案内しております。
これからサーバー会社を検討される方でご不安な方はお気軽にご相談ください。
また、こちらの記事「ドメイン・サーバーの選び方」でもご案内しておりますおで是非参考にしてみてください。

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