中小企業がWeb戦略で失敗しないコツ「見積り額を左右する3つのこと」

Webサイト制作の見積り、算出を業者に丸投げしていませんか?
Webサイト制作を依頼する際に「よくわからない」という理由で、見積りの算出を業者に丸投げしてしまうのは絶対にやめましょう。

今回は社内のWeb担当者が見積りを業者へ依頼する前に押さえておくべき見積額を左右する3つの要素について、住宅の購入時を例にわかりやすく解説します。

業者に丸投げは、高額見積りになりがち

確かに業者はWebサイト制作の専門家ですが、依頼者が行っているビジネスがかかえる事情まではわかりません。
ビジネスでどういう狙いを持っておりどんな人達に対して何をどのように提供してきたのかを把握できなければ、Webサイトで解決すべきビジネスの課題が見えてこないので専門家でも正しい提案をすることはできないのです。

事情がわからない中で見積りだけを算出しようとすると、後から追加や変更を言われても対応できるよう予算に余裕を持たせるため見積り額が上昇する原因になったり、それでも吸収しきれない場合は後から想定外の追加費用が発生してしまうこともあります。

そういった事態を避けるため制作業者に自社のビジネス上の狙いやターゲットにしている消費者の特長などを説明する役割を担っているのが社内におけるWeb担当者になります。

見積額を左右する その1~なぜ作るのかという「目的」

新しく住宅を建築する場合

新しく住宅を建築するなら、

「建て売りではなく2人の望みを実現した家が欲しい」
「これから子供が生まれるので4人家族に最適な一軒家が欲しい」
「身体が不自由な両親と暮らすための二世帯住宅が欲しい」

など、さまざまな目的があり、住宅に求められる建築構造や必要な土地の広さは変わり購入価格に大きな影響を与えます。

Webサイトをつくる場合

Webサイトをつくる場合も同様で、

「これから始める新しいビジネスのメイン販売ツールとして使いたい」
「更新作業が煩雑で情報が増やしづらいから更新作業が楽にしたい」
「表示されるまですごく遅いのでもっと早く表示されるようにしたい」
「ビジュアルがもう古く会社や商品のイメージ悪化に繋がるのでビジュアルだけ刷新したい」

など目的が違えばWebサイトに求められる内部構造や必要になるページ数も変わり見積り額に大きな影響を与えます。

見積額を左右する その2~ここまでなら可能という「予算」

一部の大富豪を除けばこれから購入する住宅の金額を気にしなくてよい人などいないはずです。
使うことができる予算額によって建て売りか注文住宅か、分譲マンションか戸建てか、中古か新築かなど選択肢の範囲が決まるため、業者側は目的にマッチしなおかつ予算額に応じた住宅(※1)を提案することができます。

予算が1500万の定年を迎えた単身者に都内の新築一戸建ての注文住宅を提案しても予算が足りないでしょうし、予算が4000万の4人家族にワンルームの分譲マンションを提案しても買えるでしょうが必要な要件は満たさないでしょう。

Webサイトの場合も予算によって実現できる内容がまったく変わってきます。

例えば10ページのWebサイトを作る場合、特別なことを必要としなければ、30万程度で予算は足りることもありますが、アニメーションをデザインに取り入れれば50万円前後~、独自仕様のシステムを組み込もうとすれば100万円以上必要になることはザラです。

1ページ単価がいくらで100ページあれば100倍という単純な考え方だけでは正確な見積額は算出できない(※2)ため、依頼する際は予算も伝えなければ支払能力を大幅に超えた見積り額が来てしまったり要件を満たさない安い見積り額にが来てしまいます。

見積額を左右する その3~いつWebサイトを公開するという「公開日」

住宅の場合の引き渡し日にあたります

急いでいるからといって来週には引き渡して欲しいと言ってもそんなに早く家を建てることは無理(※3)ですし、逆に急いでいないからといって適当に建てておいてもらえれば自分達の良きタイミングで勝手に入居しますと言っても、完成立会いといって業者と一緒に建物をチェックをし確認書類に署名捺印をもらう最終工程があるので無理でしょう。

Webサイトの場合は公開日によって作業可能な日数が明確になって実現できる内容が決まり、内容によって必要な人員が決まり、人員の稼働日数で人件費が決まります。
多くの業者は限られた人員で常に複数の案件を同時進行しているため、希望する公開日によってはそもそも引き受けることができない場合もあります。

公開日を前倒ししたい時や業者が定める標準納期よりも急がせたい時は、作業によっては人数を増やすことで実現可能なケースがありますが、増員した分だけ人件費が多くかかるので作る内容が変わらなくても公開日を前倒ししたことで見積り額が上がる原因になることがあります。
逆に、公開日を通常よりも先に設定し作業期間に余裕をもたせることで、人員の数を減らしたり時間のかかる経験の浅い人員に担当させることが可能になり、コストの削減が可能になる場合は作る内容が変わらないのに公開日に余裕をもたせたことで見積り額が下がるきっかけにもなります。

まとめ

「目的」「予算」「公開日」の3つが見積り額を決める

住宅の場合
「どういう家がなんで欲しいのか?」という目的、
「いくらまでなら支払えるのか?」という予算、
「いつから居住したいのか?」という引き渡し日、
これらの希望が決められなければ業者からも期待する返答が得られないはずです。

繰り返しになりますが、Webサイトの制作で業者に適切な見積りを出させるには、事前に社内で目的・予算・公開日について明確にしておくことがもっとも重要です。
そしてそれら目的・予算・公開日の3つとも把握しているWeb担当者を必ず社内で選任してください。

ここで注意することは、目的と公開日は把握しているが予算はわからないなど、一部しか把握出来ていない状態や、目的はあの人だけど予算はこっちの人などのように、把握している人間を複数人に分けないで必ず一人のWeb担当者がすべてを把握しているようにしましょう。

そうすることで、無駄な確認作業が何度も発生せず、情報がスムーズに業者に伝わり、精度の高い見積りを迅速に得ることができます。

弊社でも見積り依頼をいただいた際に目的と予算と公開日がまだ明確ではない場合は、まず社内で目的・予算・公開日の3つについてご検討いただくようご案内させていただいております。
自分達だけではそれは困難だという方には現状把握の為に発注前調査をお仕事として承ることも可能ですので、お困りの方は弊社までお気軽にお問い合わせください。

※1 例えば住宅の場合、都内でよく見かける建て売りの新築ファミリー向け戸建てなら3000万円台から可能かもしれませんし、完全分離型の二世帯住宅を注文住宅で建てるなら軽く4000万円は超えるでしょう。中古の分譲マンションなら注文住宅レベルにリノベーションしても1000万円台で済むことも。

※2 たとえ100ページもあってもそのほとんどが定型フォーマットで書かれている文字や写真が違うだけのページならば、40万円程度で作れることもあります。

※3 建て売り住宅だったとしても必要書類の手配や契約手続きがあるので購入側の都合だけでは無理でしょう。

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